2019年10月11日(金曜日)、霞ヶ関イイノホール&カンファレンスセンターにて「第9回がん新薬開発合同シンポジウム」を開催しました。本年度は「がん治療の未来戦略〜ソリューション型開発とプラットフォーム型開発」をテーマに、産官学各方面のエキスパートが集結し、実際の事例や次世代の治療開発の方法論について講演いただき、活発な意見交換が行われました。
東病院長の大津敦の開会挨拶に続き、第1部「ソリューション型開発とプラットフォーム型開発」では、国内アカデミアとの連携や検体管理体制の構築など柏キャンパスでの取り組みについて発表しました。また企業の立場から、新しいがん治療の開発を目指した医薬品、医療機器開発を加速するための各社の施策についてご紹介いただきました。
午後の特別講演は、楽天メディカル社 会長兼最高経営責任者の三木谷浩史氏をお招きし、「楽天メディカルの挑戦 光免疫療法からイルミノックス™へ、がんを克服した社会とは」と題して、同社が取り組んでいる開発状況と新しい医療エコシステムの構築を目指した戦略についてご紹介いただきました。質疑応答では、がん克服を目指した三木谷氏のアントレプレナーとしての志、そして異業種からの医薬品、医療機器開発への出資及びヘルスケア事業への挑戦、さらには「現場に近い経営者」としての経営方針について会場中の方が身を乗り出して聞き入っていました。
第2部では「再生/細胞医療」というテーマで、国内外の各方面から3名の方にご登壇いただきました。抗悪性腫瘍剤の開発と比較した再生医療等製品の臨床開発の現状や課題について、日本における承認審査の実例や、新しい治療法の実用化を目指したベンチャー企業に関する発表が行われました。
最後に、山梨大学副学長の岩崎甫氏より総括と閉会の挨拶をいただきました。
当日は昨年に続き、がん領域シーズの薬事領域・開発ロードマップに関する相談会を開催し、3社の企業展示も出展されました。
・一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)
・日本メジフィジックス株式会社
・3HPメディソリューション株式会社
今回は415名の方にご参加いただき、長時間にわたるシンポジウムにも関わらず、最後まで多くの方が聴講されました。本シンポジウムは来年度で10回という節目を迎えます。国立がん研究センター東病院では、より最適な治療法や有効な新薬の開発を目指し、国内外の産官学との連携を行ってまいります。