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第13回がん新薬開発合同シンポジウム+第7回医療機器開発シンポジウム
「がん治療の未来戦略〜ソリューション型開発とプラットフォーム型開発」をハイブリッド開催(2023年12月15日)

2023年12月15日(金曜日)、JPタワー ホール&カンファレンスにて「第13回がん新薬開発合同シンポジウム+第7回医療機器開発シンポジウム」をハイブリッド形式で開催しました。「がん治療”新時代”を創造する~ジェネレーションZ時代の開発の方向性~」をテーマに、様々なデジタル技術がもたらす開発環境変化とこれからの10年の医療技術開発プラットフォームについて、産官学各方面で精力的に取り組まれている方々よりご講演いただき、活発な意見交換が行われました。
※ 当日のプログラム、登壇者一覧等の詳細情報および抄録はこちらをご参照ください。

土井俊彦先端医療開発センター長/橋渡し研究推進センター長による開会挨拶に始まり、冒頭の基調講演「日本からのがん医薬品開発の未来に向けて」では、国立がん研究センター東病院長の大津敦先生より、現在の医薬品開発の変化や日本の課題が提示され、それに対して国立がん研究センター東病院(柏キャンパス)がどのような取り組みを行っているかについて、基礎から非臨床、臨床開発、rTRの各段階に分けてご講演を頂きました。日本の医薬品開発に係る課題が明確になったとともに、東病院の取り組みを通じてグローバル視点で日本が今後取り組んでいく道筋が垣間見えた講演でした。また、参加者からも「東病院の取り組み/戦略が良く理解できた」「感銘を受けた」など多くのコメントを頂いています。

  • 第13回がん新薬開発合同シンポジウム+第7回医療機器開発シンポジウム
  • 第13回がん新薬開発合同シンポジウム+第7回医療機器開発シンポジウム
  • 大津 敦先生(国立がん研究センター)

    大津 敦先生(国立がん研究センター)

  • 土井 俊彦先生(国立がん研究センター)

    土井 俊彦先生(国立がん研究センター)

続く第1部「新時代の医療技術を創造するデジタルプラットフォーム」では、産業技術総合研究所人間拡張研究センターフェロー兼研究センター長の持丸正明先生が「人間拡張技術とヘルスケア・医療サービスへの応用事例」、昭和大学・スタンフォード大学MCiMの大嶽浩司先生が「DX、デジタルデバイスの活用により変化する医療提供モデル」、日本マイクロソフト株式会社業務執行役員の西脇資哲先生が「生成AIがもたらす医療へのインパクトと最新動向」のタイトルで「新時代の医療技術を創造するデジタルプラットフォーム」について講演されました。いずれも近未来の医療を変革するアイデアに富んだ提案が相次ぎ、参加者アンケートでも新しい切り口(エッジ)への期待が相次ぎました。特にライブで講演された西脇先生のエバンジェリストらしい巧みな話術と内容に、会場の雰囲気も一気に高まり、後半のセッションへとつながりました。

  • 持丸 正明先生(産業技術総合研究所)

    持丸 正明先生(産業技術総合研究所)

  • 大嶽 浩司先生(昭和大学/スタンフォード大学)

    大嶽 浩司先生(昭和大学/スタンフォード大学)

  • 大津 敦先生(国立がん研究センター)

    西脇 資哲先生(日本マイクロソフト株式会社)

  • 土原 一哉先生、佐藤 暁洋先生(国立がん研究センター)

    土原 一哉先生、佐藤 暁洋先生(国立がん研究センター)

午後の第2部「Bio modulation(第13回がん新薬開発合同シンポジウム)」では、ノボキュア株式会社の東久弥先生が「腫瘍治療電場療法(TTFields)臨床開発の現況と将来の可能性」、メタジェンセラピューティクス株式会社の寺内 淳先生が「腸内細菌をターゲットにした新たな医療・創薬への挑戦」、釧路労災病院の澤田憲太郎先生が「がん治療におけるマイクロバイオーム研究の方向性」のタイトルで「Bio modulation」について講演されました。いずれも今後のがん医療への新たなアプローチを提案するもので、既に応用が始まっているものあり、とてもワクワクさせる内容でした。がん治療における人間の体内の奥深さは、まだわからない事も多く、多様な視点での治療開発が必要であることを実感させられる時間でした。この分野においては、異分野間の協業は、より重要になると考えられ、第一部やその後の第三部のテーマでもあるデジタル・AIとのMIXも今後さらに発展していくと想像させられました。

  • 東 久弥先生(ノボキュア株式会社)

    東 久弥先生(ノボキュア株式会社)

  • 布施 望先生、久保木 恭利先生 (国立がん研究センター)

    布施 望先生、久保木 恭利先生(国立がん研究センター)

  • 寺内 淳先生(メタジェンセラピューティクス株式会社)

    寺内 淳先生(メタジェンセラピューティクス株式会社)

  • 澤田 憲太郎先生(釧路労災病院)

    澤田 憲太郎先生(釧路労災病院)

第3部「Digital Therapeutics(第7回医療機器開発シンポジウム)」では、新しい産業領域として成長が期待されているデジタルセラピューティクス(DTx)について、DTxと比較的親和性の高い精神科領域の臨床の視点、産業界の視点、米国の現状について、それぞれのステークホルダーにご講演いただきました。具体的な講演としては、国立がん研究センターの小川朝生精神腫瘍科長より「精神科領域のDTxの取り組みについて」、日本デジタルヘルス・アライアンス(JaDHA)/塩野義製薬株式会社の阪口岳様より「我が国におけるDTxビジネスの現在地と展望」、Kicker Venturesの清峰正志様より「アメリカのDTx市場」と題してご講演いただきました。DTx業界をリードしてきたPear Therapeutics社の倒産から見える日米におけるDTx開発の現状と課題、について、臨床と産業界の立場から展望をお話しいただき、今後のDTx開発について示唆に富む内容に、DTxの可能性を感じさせられました。

  • 小川 朝生先生(国立がん研究センター)

    小川 朝生先生(国立がん研究センター)

  • 阪口 岳先生(JaDHA / 塩野義製薬株式会社)

    阪口 岳先生(JaDHA / 塩野義製薬株式会社)

  • 清峰 正志先生(Kicker Ventures)

    清峰 正志先生(Kicker Ventures)

  • 伊藤 雅昭先生、矢野 友規先生(国立がん研究センター)

    伊藤 雅昭先生、矢野 友規先生(国立がん研究センター)

また最後に、国立がん研究センター東病院 小西大副院長/医療機器開発センター長より、本シンポジウムの総括と閉会の挨拶をいただきました。本日得られた最新の知見と、様々な開発の壁や問題点を、多くの皆様と共有できたことの重要性、また、今後の医療技術開発と、それらに係る全ての研究者のさらなる発展への期待が述べられました。

  • 小西 大先生(国立がん研究センター)

    小西 大先生(国立がん研究センター)

  • 第13回がん新薬開発合同シンポジウム+第7回医療機器開発シンポジウム

今回は初のハイブリッド開催でしたが、当日、会場とオンラインで約1,100名の参加者をいただき、特に会場参加者は、3年ぶりの対面開催の臨場感とリアルタイムでの交流を楽しむことができました。
本大会の開催にあたり、多くの方のご協力をいただきました。ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。