国立がん研究センター東病院は、2021年11月19日(金曜日)、第11回がん新薬開発合同シンポジウム+第5回NEXT医療機器開発シンポジウム「進化し、変革し続ける開発環境~次のGame changerはどれだ?~」をオンラインで開催しました。
今後のGame changerとなり得る新規モダリティを概観し、次世代のがん医療について議論を深め、わが国からの新たながん医療開発をさらに活性化して行くことを目指し、産官学各方面で精力的に取り組まれている方々をお招きし、ご講演いただきました。
*当日のプログラム、登壇者一覧等の詳細情報および抄録はこちら をご参照ください。
大津敦東病院長の開会挨拶では、国立がん研究センター柏キャンパス(東病院・先端医療開発センター)でのグローバル開発プラットフォームの状況と新たな取り組み等についてご紹介しました。
第1部「放射線医療―Nuclear Medicine」では、放射線領域における最新のトピックについて、4名の先生方に講演頂きました。核医学分野から新しい核種を用いた核医学診断と核医学治療について、放射線治療分野からホウ素中性子補足療法について、放射線診断分野から次世代型CT装置の開発についてご紹介頂きました。
MTR(Molecular-targeted Radiation)による核医学診断・治療薬研究開発
西村 伸太郎(テリックスファーマジャパン株式会社 最高経営責任者/代表取締役)
超小型中性子源を用いた新規 BNCT 装置
石本 学(福島 SiC 応用技研株式会社 代表取締役)
神経内分泌腫瘍における PRRT 開発について
笠原 裕之(富士フイルム富山化学株式会社 RI 事業戦略部 取締役 執行役員)
次世代型 X 線 CT の開発と期待
西島 輝(キャノンメディカルシステムズ株式会社 CTMR 事業統括部 CT 開発部 CT ハードウェアユニット開発担当 グループ長代理)
次の特別講演は、大津敦東病院長が司会進行を務め、ペプチドリーム株式会社 取締役副社長の舛屋 圭一氏をお招きしました。「Peptides as Game Changer for Multi-Modalities」と題して、ペプチド創薬からDDS技術への応用など、同社の技術が今後どのようにGame Changerとなり得るのか?についてご紹介頂きました。
第2部「がん新薬合同シンポジウム」では「Cell surgery」をテーマに、細胞を作り変える技術として細胞内抗体技術、オルガノイドを用いたゲノム編集、創薬プラットフォームとしてのmRNAについて各研究者より講演頂くとともに、それらを普及させるキーとなる次世代抗体医薬の開発についてもご紹介頂きました。
細胞内抗体 STAND 技術を用いた難治性がん治療薬の開発
樺山 博之(STAND Therapeutics 株式会社 代表取締役 CEO)
DDS・分子イメージングを駆使した次世代抗体医薬の開発
安永 正浩(国立がん研究センター先端医療開発センター 新薬開発分野長 )
がんオルガノイドを用いたゲノム編集とその可能性
関根 圭輔(国立がん研究センター研究所 がん細胞システムユニット 独立ユニット長)
ワクチンおよび創薬プラットフォームとしての mRNA
医学講座 教授/Elixirgen Therapeutics, Inc. 共同創業者)
第3部「NEXT 医療機器開発シンポジウム」では「臨床現場と連携した機器開発の新展開」をテーマに、行政、企業、医療のそれぞれの立場から、医療機器開発に対する取組みをご紹介いただきました。行政の医療機器開発への取組みとしてプログラム医療機器の開発を後押しする行政の取組みの一端をご紹介いただきました。
また、本イベント開催当日に東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たしたサスメド株式会社と大手IT企業であるNECからそれぞれ医療機器開発における臨床現場との連携についてお話しいただきました。さらにNCC発ベンチャー企業であり朝日インテックによるM&Aを達成したA-Tractionの取締役を務めた、当院の大腸外科長の伊藤が当院の医療機器開発に対する取組みとA-TractionがM&Aに至るまでに経緯を紹介しました。
プログラム医療機器の承認審査に関する行政の取組
福田 悠平(厚生労働省 医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課 プログラム医療機器審査管理室長)
デジタル技術を活用した医療機器と、臨床開発効率化
上野 太郎(サスメド株式会社 代表取締役)
AI 技術と臨床の共創 -必要な医療をデジタルで支える-
池田 仁(NEC デジタルヘルスケア事業開発室 室長)
AMED 次世代医療機器連携拠点の取り組み&A-Traction
伊藤 雅昭(国立がん研究センター東病院 大腸外科長 /手術機器開発室長)
長時間にわたるオンライン開催となりましたが、延べ950名を超える方々にご参加いただき、各演者の質疑応答では質問BOXを利用し視聴者からの質問にリアルタイムで回答するなど、大変活発かつ有意義なシンポジウムを行うことができました。本年も多くの方にご参加ご清聴いただき感謝申しあげます。
国立がん研究センター東病院は、「世界中のよりよい医療をいち早く患者さんへ届ける」をモットーに、より最適な治療法や有効な新薬・医療機器開発を目指し、国内外の産官学との連携を行ってまいります。